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いっぷく豆日記 vol.24

散歩の帰り道、おいしい酒かすに出会う


 私の木版画やポストカード類をいっぷく亭にも置くようになって約七年。食後にポストカードを何枚か買い求めてくださった方、壁に掛けた作品を額縁ごと買ってくださった方、自分用の額縁を注文してくださった方…、いろいろな出会いがありました。先日は、店内に掛けてあるカレンダー(いっぷく通信のふろく)に興味を持たれたお客様が、カレンダー付きの最新号を買って帰られました。夫からその話を聞いて喜んでいたところ、後日その方からメールが届き、「かんじんのカレンダーが入っていませんでした」とのこと。(ああ、やってしもた〜!)すぐにお送りするため住所を伺うと、何と「ならまち」にお住まいということが分かり、近くなので直接お渡しすることになりました。

そのご夫妻は独自の手法による珈琲焙煎所をされていて、珈琲飲みとしてはそちらにも興味がそそられます。ちょうどお店の定休日だったので夫とふたりで伺い、まずはカレンダーをお渡しし、珈琲談義もたっぷり聞かせていただきました。これも何かのご縁でしょうか。

 その帰り道、散歩しながら立ち寄った奈良漬け屋さんで「豊祝」の酒粕に出会いました。「豊祝」は奈良の地酒。
以前、酒屋さんの立ち飲みコーナーで試飲したとき、とても美味しくてビックリしたことがあります。あのお酒を絞った酒粕ならと買って帰ったら大正解。しっとりとお酒が含まれていて、酒粕自体に甘みがあって、いつも食べているのとは全然違う。夫もそれは同感で、ふたりでこの酒粕を味わいながら、ホクホク顔になりました。

 入れ忘れたカレンダーを届けることから始まった散歩でしたが、行き当たりばったりに楽しくて、ええ感じの締めも出来て、めでたしめでたしでした。

(ひ)20200324


# by ippuku-kousaku | 2022-02-24 14:15 | いっぷく豆日記

いっぷく豆日記 vol.23

酒粕


冬になると楽しみなのが「酒粕」。それも板状に薄く剥がして分けられるものに限りる。特にこの冬に見つけた「豊祝」という銘柄の酒粕はピカイチ。味も良く、パサつかない程度に適度にジューシー。
クッキングペーパーを敷いたストーブの上で炙って、少し焦げ目がつくかどうかくらいの頃に一口大に切り分け、砂糖を付けて口に運ぶ。あまり「品がある」とは言えないこの食べ方がなんとも美味しい。
品のない食べ方だと自分で思っていたので、目立たないように、出来るだけこっそりと食べていた。ところが、一度味見してみた弘美も気に入って、ここのところ、夫婦で一緒につつくようになって、楽しい時間が増えたのはうれしいこと。
ただ、問題なのは僕がかなりお酒に弱いということ。調子に乗って2枚も食べると、すっかり酔っ払ってしまう。
二日酔いのような症状は出ないものの、翌日の職場では緊張感が過度になくなるのか、自分でも説明のつかないような間違いを犯すのだ。プラスチック製のウォーターピッチャーを火に掛けたり、油の代わりにお好み焼きの鉄板にソースを塗ってみたり。
今のところ、取り返しのつかないような実害は出ていないけど、僕にとって酒粕の2枚目を食べるのは要注意なのだ。

(て)20200323


(いっぷく通信56号ふろくより)


追記:
2022年正月、初詣の帰りに山崎屋さんを覗いてみると、今年はありました!豊祝の酒粕。
さっそく2袋購入。「お酒がたっぷりしみていて、やっぱりおいしいなぁ」と、絶賛しながら、その日のうちに1袋平らげてしまったのだった。


# by ippuku-kousaku | 2022-02-24 12:05 | いっぷく豆日記

いっぷく豆日記 vol.22

裏庭の穴掘り(大地の再生講座の後で)


本編に書いた 「大地の再生プロ講座」レポートはいかがでしたか?
まったく予備知識のない人にもわかってもらうにはどうすればいいのか悩んだ末、シンプルな仕組みだけ絵に書いて、ようやく納得のいく形になりました。私自身も頭の整理ができてよかったのですが、うまく伝わったかなぁ。

講座の後、裏庭にも穴を掘りました。だいぶ前になりますが、畑を始める際一度地面を掘り起こしたことがあります。そのとき、たくさんのレンガが出てきたのを思い出したのです。途中で埋め戻して畑にしていますが、作物がうまく育たないのと関係があるような気がして、改めて掘ってみました。(正確には、夫と息子が掘りました。私は穴の底の土を掻き出す係)

すると、まだまだレンガが出てきます。深さ約40㎝から下にレンガは埋まっていて、掘り出すと横にずーっと続いていきます。私たちがここに引っ越してくる以前は、小屋があった場所なので基礎のつもりで埋めたのでしょか。それにしても、ずいぶん深く埋めたものです。レンガは規則的に埋まっていたり、カーブを描いていたり、無作為に埋められた所もありました。まとまった雨が降ると、穴に水がたまり、なかなか引いてくれません。あまり気にせず畑として使ってきたけど、野菜が深く根を張れるよう、もう少しレンガを掘り出した方が良さそうです。とはいえ地面もレンガのように固く、ツルハシを使わなければ掘り進めることは困難。あまりの労力に夫も音を上げてしまいました。ここは若さに頼ろうということで、バイト代を払って息子に掘ってもらうことにしました。

穴には炭を入れ、一年以上寝かせた堆肥も加えてから埋め戻そうようと思っています。
20160908(ひ)


〈いっぷく通信48号ふろくより〉

# by ippuku-kousaku | 2022-02-03 00:15 | いっぷく豆日記

いっぷく豆日記 vol.21

ご近所の畑


もう少し畑が広かったらなぁ。
そうは思っても近所に知り合いは少なく、元々間借りしていたハイツの大家さん宅に、どこか貸してくれそうな畑がないか聞きに行ったのでした。すると、大家さんの畑を使わせてもらえることになりました。

通りからはまったく気がつきませんでしたが、大家さんの畑はご自宅の奥、坂を少し上った高台にありました。手頃な広さの畑と、梅、実山椒、ゆず、お茶の木もありました。大家さんが急病で畑仕事に立てなくなった半年の間に、剪定されない果樹たちは枝が混み合ってうっそうとしています。畑に立つと否応なしに目に入る果樹の枝振りが気になる。でもまずは草刈りです。畝がびっしり草に覆われていたので、草引きしたり、鎌で刈ったり、それではなかなか終わらないので草刈り機を借りて機械刈りにも挑戦しました。

さて、何を育てようか。5月に入り、急に決まったことなので苗の準備も植え付け時期にも間に合いません。ちょうど手元にあった大豆と小豆を育てることにしました。どちらも蒔き時の期間内なのでグッドタイミング。豆類はほったらかしでも育つので、当面の仕事は周辺の草刈りのみ。それでも、夏の間は大変でした。ご近所の農家さんのように早朝に働けば体も楽なのでしょうが、なかなか早く起きられず、作業時間を1時間に限定しても、バテバテでした。

ありがたいことに、酷暑の中でも大豆は枯れることなく成長を続け、鞘もできてきました。大豆はヒトよりも暑さには強いみたい。実が入れば、枝豆とビールで乾杯です。 うまくいけばの話ですが、楽しみにしています。豆類を収穫したら、大根やタマネギを育てる予定。
20160905(ひ)


〈いっぷく通信48号ふろくより〉

# by ippuku-kousaku | 2022-02-03 00:07 | いっぷく豆日記

いっぷく豆日記 vol.20

ふたりのおばあさん (旅の思い出)


特に印象に残っているおばあさんが、ふたりいる。

一人は、ヨセミテロッジのフードコートのキッチンに立つおばあさん。
青年や若い女性、ちょっと中年に掛かってきたくらいの男性など数人が、それぞれの持ち場でぼちぼちと作業に当たっているキッチンの中にあって、彼女一人が仁王立ち。
背丈も低く、華奢な体つきながら、職場全体の気を伺うように静かにその場にいて、どこを注視する風もなく視線は真っ直ぐ前、少し下を向けている。その堂々たる佇まいがまるで映画「スターウォーズ」に出てくるヨーダという騎士団のマスターのよう。職場全体をフォースで支配しているかのように思えたのは、単なる僕の妄想だろうか。今となっては、真相の確かめようもない。

もう一人はロサンゼルスへ夜のフリーウェイを急いでいる途中、給油の為に入ったガソリンスタンドのレジ係のおばあさん。
深いシワを埋めるようにその上から厚化粧してヒビの入った彫りの深い能面のような顔には一切表情が無い。英語が堪能という訳では無い僕にもそれと分かる程、無感情な言葉使いで、半ば虚ろな目をしながら職務だけは無駄なくこなしている。
大型トレーラートラック向けといった風情のガソリンスタンドにあって、決してお行儀の良くなさそうな運ちゃん達を、長身ながらもいとも簡単にポッキリ折れてしまいそうなこのおばあさんは物怖じする事無くサバいていた。

どちらのおばあさんも誰に媚びることもなく、しっかりとした自分の居場所を得ているその居ずまいがカッコ良く思えた。
20160406(て) 


〈いっぷく通信48号ふろくより〉

# by ippuku-kousaku | 2022-02-02 22:09 | いっぷく豆日記

生命線をつむぐ暮らし


by ippuku-kousaku